抗重力はらまき・医療従事者様向け
抗重力はらまきは、「重力と加齢には勝てない」という言葉に抗(あらが)う目的で、医学的論拠に基づき考案し、特許を取得した衣類である。
【抗重力はらまきの概説】
抗重力はらまきは、特許第4654312号の「体型調整メカニズムを働かせる機能」を基本構造とし、特許第4902028号の要素である「抗重力機能」を加え、他に「腹部の不随意で慣性的な動きの抑制機能」、「腹腔内圧減少抑制機能」、「腹部の創離開防止補助機能」等の機能を備えさせた衣類であり、医療器具ではない。
特許第4654312号明細書より抜粋
【発明の名称】
ウエスト部を有する衣類
【技術分野】【0001】
本発明は、ウエスト部を有する衣類であって、産後の腹部の形状が整っていくメカニズムと同様のメカニズムを働かせるための条件を組み込んだ衣類に関する。
【発明が解決しようとする課題】【0007】
本発明は、上記の事情に鑑み、腹部への強い押圧力によらずに装着時の体型調整ができ、しかも、徐々に体型そのものが修正されていくことができる衣類を提供することを課題とする。
【発明の効果】【0009】
本発明の衣類によれば、腹部への強い押圧力によらずに、産後の腹部の形状が整っていくメカニズムと同様のメカニズム(以下、体型調整メカニズムという)を働かせるための条件を衣類に機能として取り入れることで、装着時に腹部の皮膚を弛ませ、腹部に軽くしわをよせ、且つ、日常的な継続使用により装着者の腹部の形状を根本から整える機能(体型そのものを身体の生理作用を利用し修正する機能)を備えた衣類を提供することが可能となる。
さらに、腹部のみならず腰部や殿部にも、体型調整メカニズムを働かせるための条件を機能として取り入れることが可能となる。
【産業上の利用可能性】【0053】
本発明は、腹部への強い押圧力によらずに、衣類の装着に伴う収縮距離の差異によって生じる作用と衣類と皮膚との摩擦を考慮し、皮膚に対する持続的伸張負荷を軽減することで、持続的伸張負荷が減少すると縮むという皮膚の生理的性質を作用させ、体型調整メカニズムを働かせるための条件を衣類に機能として取り入れることで腹部の皮膚を弛ませ、腹部に軽くしわをよせ、日常的な継続使用により、産後や急激な痩せに伴う腹部のたるみのみならず、装着者の腹部の形状を根本から整える機能を備えた衣類を提供することができ、さらに、腹部のみならず腰部や殿部にも、体型調整メカニズムを働かせるための条件を機能として取り入れることが可能となり、衣料業界に貢献する処大である。
【体型調整メカニズム】
体型調整メカニズムとは、産後の腹部の形状が整っていくメカニズムと同様のメカニズムをいう。
なお、抗重力はらまきに備えた機能は、「体型調整メカニズムを働かせる機能」であり、老若男女を問わず、妊娠時以外の腹部膨出や産後以外の腹部のたるみ、および、腹部に限らず、いわゆる一般に“贅肉・弛み”と言われる身体表皮の外観上の余剰を整え、体型の形状を根本から整えることが期待できる。
皮膚には、苦痛を伴わない程度の負荷となる持続的な伸張力(持続的伸張負荷)が加わると伸び、持続的伸張負荷が減少すると縮むという生理的性質がある。
この生理的性質を、出産前後の腹部の皮膚を例として説明する。
妊娠経過に従い、胎児の重さ(大きさ)は妊婦の体内で増加していく。
この胎児の重さの増加は、妊婦の腹部の皮膚に対する体内からの持続的伸張負荷となる。
すると、腹部の皮膚は、持続的伸張負荷が加わると伸びるという皮膚の生理的性質に従い伸び、腹部は膨出する。
出産に伴い、胎児の影響による腹部の膨出は消失するが、腹部の皮膚は伸びたままで、著しくたるんでいる。
しかし、同時に出産に伴い胎児の影響による持続的伸張負荷が消失する。
すると、腹部の皮膚は、持続的伸張負荷が減少すると縮むという皮膚の生理的性質に従い、時間の経過と共に縮み、腹部の形状は妊娠前の体型へと整っていく。
このように、産後の腹部のたるみが一時的なもので、時間の経過に伴い整っていくのは、腹部の皮膚への持続的伸張負荷が減少したことによるものであり、これが産後の腹部の形状が整っていくメカニズムである。
このメカニズムと同様の体型調整メカニズムを利用すれば、妊娠時以外の腹部膨出や産後以外の腹部のたるみに対しても同様に、体型の形状を根本から整えることが可能となる。
この体型調整メカニズムを働かせるためには、腹部の皮膚への持続的伸張負荷を減少させることが不可欠な条件となる。
また、身体の形状を整える手段として歯列矯正があるが、この歯列矯正も物理的な強い押圧力によるものではなく、苦痛を伴わない程度の持続的な負荷によって生じる骨の生理的性質(破骨細胞と骨芽細胞の性質)を利用している。
【抗重力はらまきの構造および機能】
以下、図面を用いて本発明の一実施例である抗重力はらまきA・女性専用腹巻を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の一実施例(抗重力はらまきA・女性専用腹巻)
抗重力はらまきAでは、水平方向と垂直方向の収縮距離に差異を有する生地を用い、腹部に密着する〔横線部分〕は、水平方向の収縮距離が垂直方向の収縮距離より長くなる方向で使用し、腰部〔灰色部分〕の生地は、腹部〔横線部分〕の生地を90度回転させて用いている。
このことにより、腹部に密着する〔横線部分〕の装着に伴う水平方向の収縮距離が、腰部に密着する〔灰色部分〕の装着に伴う水平方向の収縮距離より長くなるという差異を設ける構造とすることができ、衣類の装着に伴う収縮距離の度合は、腹部に密着する〔横線部分〕が最大となり、腹部の皮膚を腰部の皮膚より水平方向に弛ませ、腹部に軽くしわをよせることができ、腹部の皮膚が受けている水平方向の生理的張力を持続的に減少させることが可能となり「体型調整メカニズムを働かせる機能」を備えることができる。
また、生理的な動作による腹囲の増減に追従できる伸縮性を有する生地を腹部に用い、非装着時の腹部の形状を人体の左右の上前腸骨棘を結ぶ線に相当する位置から上方へ向かうに従い広くなる構造とする。
さらに、装着者の実測腹囲より、適度に腹囲が短いサイズを適正サイズとし、引き伸ばしながら装着する。
このことにより、腹部に対し持続的な抗重力方向の力を生じさせる「抗重力機能」を備えることができ、腹部の皮膚の重さによって生じる腹部の皮膚に対する重力方向の持続的伸張負荷を減少させる機能を備えることができる。
また、腰部〔灰色部分〕の生地を、腹部〔横線部分〕の生地を90度回転させて用いることで、腰部においては水平方向より垂直方向の収縮距離が長くなるという構造となる。
このことにより、腰部に生じる持続的な抗重力方向の力を殿部や下肢に効率良く作用させる機能を備えることができる。
さらに、腹部に対し、抗重力方向および水平方向から苦痛を伴わない程度の持続圧を加えることで「腹部の不随意で慣性的な動きの抑制機能」を備えることができ、腹部に対し任意の圧を持続的に加えることにより「腹腔内圧減少抑制機能」を備えることができ、腹部の皮膚が持つ生理的張力を軽減させることにより腹部の創に対する「創離開防止補助機能」等を備えることができる。
皮膚は、表皮と真皮からなる上皮組織とその下層にある皮下組織とに分けられ、人体最大の臓器として様々な役割を担っている。
なかでも、下層にある皮下組織は非常用エネルギー(皮下脂肪)を蓄えるための貯蔵庫的な役割を担う。
さらに、皮下組織の脂肪が持つ断熱性や衝撃吸収性を利用し、身体を冷えや外部からの衝撃から守るという役割を担っている。
特に、骨格によって守られていない腹部内臓は、腹部の皮膚(特に皮下脂肪)を特別厚くすることで保護されている。
皮膚の厚さは重さと比例する。
そのため、腹部の皮膚は人体中最も厚く、最も重い。
イヤリングを継続的に使用していると耳たぶが伸びてくる。
これは、重いほど顕著であるが、イヤリングの重さが耳たぶの皮膚に対する持続的伸張負荷となり、持続的伸張負荷が加わると伸びるという皮膚の生理的性質が発揮されるためである。
同様に腹部の皮膚(特に皮下脂肪)の重さは、腹部の皮膚に対しての持続的伸張負荷となり、皮膚の伸びる性質を発揮させるための条件を継続的に揃えてしまう。
そのため、痩せ形の体形でも下腹部の膨出(下腹部ぽっこり)が観察され、大量減量に成功しても、まるで出産直後の腹部のような皮膚の弛みが出現する。
これらの改善には、腹部の皮膚の重さで生じる腹部の皮膚に対する重力方向の持続的伸張負加を如何にして軽減させるかが課題となり、「抗重力機能」を備えることで、体型調整メカニズムが働く条件を効率よく整えることができ、改善効率を著しく向上させることができる。
【腹部の創離開防止補助機能】
従来、開放性のきずである「創(そう)」に対しては、創底が浅い場合は、絆創膏や包帯等で創を閉じて固定する手段で創離開を防止し、創底が深い場合は、縫合糸等による縫合の手段により創を閉じて創離開を防止している。
さらに、縫合糸等による縫合の手段では、外力等によって縫合糸が切断されることによる創離開を防止するために、適度な太さの複数の縫合糸の中から、より太い縫合糸を選択し使用する手段が汎用されている。
しかし、太い縫合糸の使用は、縫合の跡が目立ちやすく、好ましいものとは言えない。
また、太い縫合糸を使用し、創の周辺組織を強く引き寄せ強く縫合するほど、縫合した創の周辺組織に対する血液等の循環は不良となり、次第に縫合した創の周辺組織に壊死が生じ、創離開が生じる。
さらに、切開手術等による縫合は、創の周辺組織を引き寄せて行われる。
そのため、縫合糸と縫合した創の周辺組織は引き合っている。
この状態で外力が加われば、縫合糸が細ければ縫合糸が切れ、縫合糸が太ければ縫合した創の周辺組織が裂ける。
即ち、適度な太さの縫合糸を選択し使用しても、創離開の予防は困難であった。
また、創離開の治療について科学的に言及している書籍や論文は乏しく、治療法のみならず、予防法も確立されてはいないというのが現状である。
しかし、腹部の創の周辺組織が受けている生理的で静的な張力(生理的張力)を持続的に減少させるための手段を取り入れることで創離開を防止することができる。
具体的には、腹部の縫合創部位に抗重力はらまきを装着すればよく、縫合創の表面に直接に接して装着せずとも、湿潤環境を整えるための処置やガーゼ類等の縫合部周辺の組織を覆うものを介して装着すればよい。
このことで、縫合創周辺の皮膚を弛ませ、軽くしわをよせ、創の周辺組織が受けている生理的張力ならびにその生理的張力に伴う縫合糸に作用する張力を持続的に減少させ、縫合後の縫合糸切断による創離開ならびに縫合糸による縫合した創の周辺組織の血液等の循環不良を原因とする縫合した創の周辺組織の壊死等による創離開を防止することができる。
また、抗重力機能により腹部の皮膚自重による縫合創への持続的伸長負荷を軽減することができ、腹部の不随意で慣性的な動きの抑制機能により、創およびその周辺組織が体位の変化等に伴って受ける負荷を軽減することができる。
これらは、縫合創を安静や苦痛の軽減のみならず、患者のQOL向上を可能ともする。
さらに、切開手術等による縫合創を原因とする肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)等の予防にも、創の周辺組織が受けている生理的張力を持続的に減少させることは有効であり、瘢痕も生涯代謝し続けることを考慮すれば、経年的瘢痕の改善にも有効であると考える。
【腹腔内圧減少抑制機能】
内因による腹腔内圧の不足や外因による腹腔内圧の減少に伴うと推定される不定愁訴は数多く知られているが、特に外因による腹腔内圧の減少の予防改善法に言及されることは少ないのが現状のようである。
高気圧(1018hPa)が去り、低気圧(998hPa)が接近すれば、気圧は20 hPa(ヘクトパスカル)低下する。
20hPaを?/?で表記すれば、200?/?となり、成人の皮膚面積を平均の1.6?とすれば、気圧変化により体表への圧力は320?減少したことになる。
例えば、体表への圧力が減少すれば、腹部が膨出し、腹腔内圧が減少する。これを起因とし、腹腔内動脈が拡張すれば、腹腔内動脈の血圧は低下する。
多くは自律神経系により恒常性が働き、腹腔内動脈の中膜(筋膜)を緊張させ、腹腔内動脈を収縮させることで、腹腔内動脈の血圧低下は改善される。
しかし、腹腔内圧の減少に自律神経系が順応できず、自律神経系の不調を招き、様々な不定愁訴の出現や自律神経失調症等を発症することも稀ではない。
しかし、このとき、外部から腹部を囲むように適度な圧を加えていれば、気圧変化に伴う腹部の膨出を抑制することが可能となる。
抗重力はらまきの装着により、腹部に対し抗重力方向および水平方向から適度な持続圧を加えることで、気圧変化に伴う腹部の膨出を抑制することが可能となり、腹腔内圧の減少に関わる様々な疾患の予防や改善のための有効な手段となる。
さらに、この手段が継続的な装着が可能な衣類でおこなえることは朗報といえると考える。
【皮膚下垂の主因と抗重力はらまきの装着法】
皮膚下垂の主因は、皮膚の自重にある。
これは、皮膚の自重が皮膚に対する持続的伸長負荷となり、持続的伸長負荷が加われば伸びるという皮膚の生理的性質が発揮されるためである。
皮膚下垂の予防や改善には、皮膚に対する持続的伸長負荷を軽減し、持続的伸張負荷が減少すると縮むという皮膚が持つ生理的性質(体型調整メカニズム)を働かせることが有効な手段となる。
抗重力はらまきを腹部に装着し、その抗重力により体幹で最も重い腹部の皮膚の自重を軽減すれば、その影響は腹部に留まらず、顔面や頭部にまでおよぶ。
このことは、抗重力はらまき継続使用者の顔面や前頚部の皮膚の皺や皮膚下垂が改善したことを観察することにより確認することができる。
装着の際に重要となるのが、抗重力はらまきは装着部位へのみ作用させる衣類ではなく、全身に作用する衣類であり、皮膚に密着させ装着することで最大の効果を発揮するという認識である。
装着位置は、個人の体型により異なるが、抗重力はらまきと皮膚の密着する面積が多くなるように装着することが肝要となる。
また、体型調整メカニズムは、活動時のみならず就寝時にも働かせることが可能となる。
しかし、就寝時においては活動時ほどの抗重力機能を必要としないため、活動時と就寝時においての抗重力機能に差異が生じることが望ましい。
具体的には、就寝時に適度なゆるみがある抗重力はらまきを装着する。
このことにより、抗重力はらまきが持つ体型調整メカニズムを働かせる機能をより発揮させることができる。
【サイズ選びについて】
抗重力はらまきは、装着者の実測腹囲より、適度に腹囲が短いサイズを適正サイズとしているため、装着者は適正サイズを選択し、引き伸ばしながら装着する。
このことで「体型調整メカニズムを働かせる機能」、「抗重力機能」、「腹部の不随意で慣性的な動きの抑制機能」、「腹腔内圧減少抑制機能」、「腹部の創離開防止補助機能」等を総合した機能、あるいは、個々に特化した機能を発揮させることができる。
そのため、抗重力はらまきの適正サイズは装着者の性別や使用目的により異なり、サイズ選びそのものは、抗重力はらまきのタイプにより独自となる。
【サイズダウンについて】
抗重力はらまきは、皮膚に密着させ装着し、継続使用することにより体型調整メカニズムを働かせる機能が働き、装着者の腹囲が減少する。
このことは数日間で起こることも稀ではない。
腹囲の減少に伴い、抗重力はらまきの皮膚への密着度が低下すれば、抗重力はらまきの機能も低下する。
このとき、皮膚への密着度を高める目的で抗重力はらまきの装着位置を変更することは有効な手段となる。
なお、装着位置の変更法は、サイズ選びと同様に装着者の性別や使用目的により異なり、さらに、個人差が著しいため臨機応変(ケースバイケース)となる。
さらに、装着者の腹囲が減少し、動作時に装着位置の保持が困難となってくれば、サイズダウンを勧める。
その際、上記したように、適度にゆるくなった抗重力はらまきを就寝時専用、サイズダウンしたものを活動時専用として使い分けることが望ましい。
使用目的によっては、早めのサイズダウンが有効となる場合もある。
しかし、装着に伴う苦痛がないという理由等による早過ぎるサイズダウンは、「体型調整メカニズムを働かせる機能」を低下させるばかりでなく、不適正サイズ装着に伴う過剰な衣服圧による体型への悪影響が生じることが少なくない。
【進化と呼吸法の性差について】
人の呼吸法は、胸式呼吸と腹式呼吸とに大別することができる。
胸式呼吸は、主に肋間筋を用い、脊柱を支点として肋骨を動かし、胸腔容積を増減させておこなう。
腹式呼吸は、主に腹筋を用い、腹腔容積を増減させることで胸腔と腹腔の境にある横隔膜を動かし、胸腔容積を増減させておこなう。
哺乳類の多くは主な呼吸法として胸式呼吸をおこなう。
特に四足歩行の哺乳類では、獲物の追走や捕食者からの逃走の際の吹子のような体幹の動きに、脊柱を支点として肋骨を水平方向に動かしておこなう胸式呼吸は有利な呼吸法といえる。
しかし、人の胸式呼吸運動を担う肋間筋群は、腹式呼吸運動を担う腹筋群とは比較にならぬほど非力である。
さらに、人が進化により獲得した直立姿勢により、胸式呼吸の吸気運動は、肋骨を重力に逆らい垂直方向に持ち上げなければならなくなった。
そのため、四足歩行の哺乳類には有利な呼吸法である胸式呼吸が、人の呼吸法としては有利な呼吸法とはいえなくなった。
さらに、女性は、他の哺乳類にとっては単なる授乳器官として乳腺堤(腋窩から鼠径部へ走る弓状の左右対称な線)上にある乳房の中から、胸式呼吸の最も負荷となる胸部前面(胸式呼吸の作用点)に位置する一対を選び、性差や性的成熟を視覚的に示す性的な器官としての役割を担わせている。
この性的成熟に伴い増加する乳房自重が、垂直方向に持ち上げなければならない吸気運動の負荷となり、胸式呼吸をさらなる不利な呼吸法としている。
しかし、多くの女性は、思春期前後にそれまでおこなっていた腹式呼吸を改め、人の呼吸法としては明確に不利となる胸式呼吸を獲得する。
これは、将来の妊娠に備えるためであり、妊娠期間、胎児の成長に伴う子宮体積等の増加の影響により横隔膜を動かしておこなう腹式呼吸が困難となるためである。
また、女性は無自覚で円背姿勢をとることが少なくない。
これは、息切れした時に前屈や四つ這い姿勢になり呼吸の改善をおこなうのと同様な胸式呼吸の吸気運動の不利を改善する手段である。
しかし、この無自覚な円背姿勢は習慣性円背となり、筋性円背から骨性円背へと進行していくことも稀ではない。
一方、男性は進化に従い、強靭な腹筋群を用い、直立姿勢に適した腹式呼吸をおこなう。
【抗重力姿勢の乱れと腰痛について】
人が比類なき知的生命体に進化した起因の一つに高度な抗重力姿勢の獲得がある。
すなわち、直立姿勢の維持に筋力を必要としない脊椎形状の獲得(腰椎の前屈)により、エネルギー消費が著しく少ない立位姿勢や二足歩行を獲得した。
このエネルギー消費が著しく少ない高度な抗重力姿勢の獲得が脳の巨大化や巨大化した脳の維持を可能とするエネルギーの余剰生み出し、人を比類なき知的生命体に進化させた要因ともなっている。
高度な抗重力姿勢の乱れは、立位姿勢や二足歩行に伴うエネルギーの浪費を招き、様々な疾患の起因となりうる。
具体的には、無自覚な円背(猫背)姿勢や数時間持続可能な日常的屈曲姿勢でも姿勢維持に相当の筋力を必要とし、無自覚な筋疲労や交感神経系の過緊張等を生じさせる。
このことが、知覚鈍麻等を生じながら未病の原因ともなる。
また、エネルギー浪費の継続は、生体が持つ免疫機能や再生機能のみならず、生体が持つ様々な機能を低下させ、生活の質の低下に留まらず、経年変化に伴い生命維持の根幹をむしばむことも稀ではない。
腰痛の原因を「人が進化し直立したから」とする風説があるが、腰痛の原因は進化に伴う直立姿勢の獲得ではなく、高度な抗重力姿勢の乱れにある。
このことは、狩猟採取時代の遺骨に診られず、農耕牧畜時代の遺骨に数多く診られる腰椎等の変形からも容易に推察できる。
腰痛の予防改善に簡易な腰痛ベルトや医療用コルセット等が用いられている。
これらは外骨格的手段により腰椎への負荷の軽減をおこなうが、装着部位の運動制限や不動性筋萎縮等が懸念される。
抗重力はらまきでは、「抗重力機能」、「腹部の不随意で慣性的な動きの抑制機能」、「腹腔内圧減少抑制機能」等で装着部位の運動制限や不動性筋萎縮等の懸念に対応している。
また、高度な抗重力姿勢を保持することで、無自覚な筋疲労や未病予防も期待できる。
なお、抗重力はらまきの重量は、抗重力はらまきA65(ウエストサイズ67cm〜72cm対応)で、約43gである。
【抗重力はらまきD(男性専用腹巻)について】
自分の体型を美しく見せたいというニーズは、女性に限られるものではない。
しかし、女性が自身の体型(特に腹部)を美しく見せるために日常的に着用しているガードル等の腹部形状を整える衣類が一般男性に普及しているとは言えない。
ガードル等の腹部形状を整える衣類が男性に普及していない理由に、人の呼吸法に性差があること。
さらに、男性の多くが直立姿勢に適応した腹式呼吸を日常としていることが挙げられる。
肺は呼吸器であるが、自ら呼吸(運動)をおこなうことはできない。
そのため、肺容積の増減は、直接または間接的な胸腔容積の増減によっておこなわれる。
腹腔容積を増減することで、間接的に肺容積の増減をおこなう腹式呼吸において、ガードル等の衣類の装着によって生じる持続的な腹部への圧迫、または、ウエストへの締め付けは、腹式呼吸運動を困難なものとし、腹式呼吸そのものを阻害するものとなる。
女性においても、ガードル等の衣類の装着によって生じる腹部への圧迫、または、ウエストへの締め付けに対する不快感や苦痛を訴えることは稀ではないが、日常的な(腹式)呼吸そのものを阻害される男性の苦痛はそれらの比ではない。
そのため、男性の日常的な呼吸である腹式呼吸を阻害しない。
すなわち、装着者の腹部を強く圧迫、または、ウエストを過剰に締め付けることなく、継続的装着を可能とし、腹部の形状を根本から整える機能(体型そのものを身体の生理作用を利用し修正する機能)を男性用衣類に備えさせることは容易ではないというのが現状であった。
「抗重力はらまきD(男性専用腹巻)」は、特許第4654312号の「体型調整メカニズムを働かせる機能」を基本構造とし、特許第4902028号の要素である「抗重力機能」を加え、胸骨体下部(腹式呼吸に連動しない部位)に衣類本体上辺を位置させることで、腹式呼吸を日常的に行っている男性にも継続的装着を可能とした。
なお、抗重力はらまきD(男性専用腹巻)は、腹部に限らず、いわゆる一般に“贅肉・弛み”と言われる身体表皮の外観上の余剰を整える効果も期待できる。
【抗重力はらまきB(妊婦専用腹巻)について】
抗重力はらまきBは、特許第4654312号の「体型調整メカニズムを働かせる機能」を基本構造とし、特許第4902028号の要素である「抗重力機能」および「腹部の不随意で慣性的な動きの抑制機能」を備えさせることで、妊娠線を予防しながら、腰部と腹部を支え、妊娠に伴う体型の乱れ等を予防し、妊婦のQOL(生活の質)の向上を目的とし、抗重力はらまきの機能を妊婦のために特化させた着脱が容易な衣類である。
〔妊娠線について〕
妊娠線は、別名をストレッチマーク(Stretchmarks)と称する。
成長や肥満等によって生じる肉割れの一種であり、皮膚の弾性線維に亀裂が生じることで発症する。
妊娠期に出現すると分娩後も瘢痕化し、生涯にわたって残存する。
主因は皮膚に対する伸長負荷である。
そのため、保湿等のスキンケアによる妊娠線予防行動と妊娠線の出現や重症度に医学的関連は認められていない。
〔妊娠線の機序〕
妊娠経過(胎児の成長)に従い、妊娠子宮の体積は妊婦の体内で増加していく。
この妊娠子宮の体積増加は、妊婦の腹部の皮膚に対する体内からの持続的伸張負荷となる。
すると、腹部の皮膚は、持続的伸張負荷が加わると伸びるという皮膚の生理的性質に従い伸びていく。
しかし、皮膚の真皮や皮下組織の一部は伸びにくい。
この持続的伸張負荷に耐えられなくなると弾性線維に亀裂が生じる。
〔妊娠線の予防手段〕
妊娠線の予防には、妊婦の腹部の皮膚に対する持続的伸張負荷を軽減することが肝要である。
抗重力はらまきBが持つ『腹部の皮膚への持続的伸張負荷を減少させる機能』を活用させることは、妊娠線予防に最も有効な手段となる。
〔胎児の成長による妊婦への影響〕
妊娠に伴う疾患は数多いが、疾患であるがために、医学的な対応が可能となる。
しかし、妊娠そのものは疾患ではない。
そのため、妊娠に伴う多くの愁訴に対し、医学的対応が容易ではないことも少なくない。
一般的に妊婦の体調は、妊娠の安定期と呼ばれる胎盤が完成する妊娠16週(妊娠5ヶ月の始まり)を経過すれば安定する。
しかし、その後も胎児や妊娠子宮の自重(体重)増加やそれに伴う胎児や妊娠子宮の不随意で慣性的な動きにより、妊婦は様々な影響を受ける。
妊娠の安定期を過ぎ、入浴時やプールでのウォーキング時に、心地よさを感じる妊婦は少なくない。
これは、水の抗重力機能(浮力)および腹部の不随意で慣性的な動きの抑制機能(水圧)によるところが大きい。
〔人の進化と内臓の位置や揺れについて〕
人の顕著な進化に直立姿勢や直立二足歩行の獲得があり、このことは人が比類なき知的生命体に進化した起因の一つになっている。
しかし、このことによる内臓の位置や動作に伴う内臓の揺れの生理的変化は大きな弊害を生んでいる。
四足姿勢の哺乳類では、内臓位置は水平方向の脊柱から吊り下げられた状態にあり、吹子のような体幹の水平方向の動きに内臓の揺れを同調させることが容易であるため、摂食直後であっても全力疾走による捕食者からの逃走が可能となる。
人が飲食直後に疾走すれば腹痛や嘔吐等を起こすことが少なくない。
それは、脊柱から垂直方向に吊り下げられた内臓が、疾走に伴い不随意で慣性的な揺れを生じさせるためである。
そのため、満腹時の疾走に伴う腹痛や嘔吐等の主因は人の生理的な内臓の位置であり、副因は飲食物の重さと疾走に伴う揺れとなる。
これらは疾患ではなく、極端な表現をすれば人の進化に伴う生理的現象といえる。
そのため、人には健康維持のために『親が死んでも食休み』という戒めが必要となる。
〔妊婦のQOL(生活の質)の向上について〕
妊婦のQOL(生活の質)低下の因子として、胎児や妊娠子宮の自重(体重)増加やそれに伴う胎児や妊娠子宮の不随意で慣性的な動きが挙げられるが、いずれも疾患ではないため医学的対応が容易ではない。
抗重力はらまきBでは、特許技術を駆使することにより、これらの生理的現象によって生じる妊婦のQOL(生活の質)低下を改善することを可能とした。